第3回目となる今回は大村開発本部長編です。
開発職という仕事について率直なお話を聞くことができました。
それでは第3回目インタビューもお楽しみください!
――今回は大村開発本部長です。よろしくお願いします。
大村:お願いします。
ーーでは最初に、今気になっている技術や開発に関するニュース・トレンドについて教えてください。
大村:キオクシアが上場するのかということが気にかかっています。上場したらウェスタンデジタル社に買収されて、日本由来のメモリ会社が消えてしまうのではないかと…。これは個人的な興味に近いことかもしれませんが、半導体業界が今後どうなっていくのか注視していますね。
――半導体は我々のようなメーカーにとって重要なものでもありますし、昨今半導体に関するニュースを耳にすることが多くなりましたよね。他に気になるニュースなどはありますか?
大村:あとはスマートシティですね。TOYOTAの実験都市「ウーブンシティ」の動向が気になります。電力の供給はどのようになっているのか?モビリティ電気自動車や自動運転がどんどん増えていくのか?気になりますし、それらによって我々の生活が今後10年で変わっていくのかどうかですよね。そこには当社の製品にも転用できる技術があるのではないかと思います。
――例えば、どのような技術が転用できるのでしょうか?
大村:人を検知するセンサー技術が自動運転で使われているのですが、それは当社でも使えるのではないかと思います。
――なるほど。まったくの他業界からでも技術の転用は可能なんですね。
大村:ゼロベースから何かを作るということは大変難しいことです。中にはそれが得意な人がいるかもしれませんが、昔から技術の転用というのは基本的なパターンです。特許関連にはもちろん配慮しますが。
昔上司に「真似るところは徹底的に真似ろ」と言われたことがありましたが、自分でアレンジを加えずにやることで、そのやり方の良し悪しが見えてきます。そこでしか気づけない問題もあるんですよね。
――ありがとうございます。では次の質問です。開発には、顧客ニーズをくみ取ることが必要かと思いますが、過去にお客様や営業と協力して作り上げたというエピソードを教えてください。
大村:前職の話になりますが、製品分野的にお客様と一緒に作り上げるということはあまりなかったですね。ですがお客様とのかかわりで言うと、商品試験場でのテストでお客様がどのような使い方をしているのかチェックするということがありました。報告書で「ここが間違いやすい」、「こういうところを直したほうが良い」ということが出てくるので、それに基づいて改修などを行っていましたね。海外ではフィールドテストというのを行っていて、海外に機械を送ってモニターに使ってもらうということもしていました。こういう観点からいうと、お客様と作り上げたといえるかもしれませんね。
――仕様を一緒に決めるということは特になかったのですね。例えば、仕様を一緒に決めるとなった場合にはどのような進め方になるのでしょう?
大村:昔はシーズ思考(※生産者視点でアイデアを出していく思考法)が強かったと思います。お客様が何を望んでいるのかというよりも、この技術を何に使おうか?というところから始まるのでそれなりにアイデアは出てきていました。デザイン思考的な考え方で、潜在的なニーズをつかんでいくというのは経産省も推奨していますので今後の主流になるかもしれませんね。
――なるほど。先ほど「この技術を何に使おうか?と考える」とおっしゃっていましたが、アイデアをどんどん出すために必要なことは何でしょうか?
大村:いろんなことに興味を持つことだと思います。自分のやっていることについて24時間、寝ているときも考えていることが多かったので、「これはここに使えるんじゃないか!」ということは常に考えていましたね。日常のなかにあるものからちょっとしたヒントを得られるのではないかなと思います。
――寝ているときまで!(笑)では当社に置き換えて考えると、開発部がお客様のニーズをくみ取って製品開発を行うにはどうしていくべきでしょうか?
大村:やはり開発部も外に出て、お客様の機械の使い方などを知る必要があります。技術者の持っている技術と、営業部がお客様から頂いてくるニーズを組み合わせると新しい製品ができるのではないでしょうか。なので、今後は開発部の営業に同行して現場を見に行くようにしたいですね。
今回はここまで!その②へ続く・・・